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美しく暮らす東北のデザイン住宅2017


リプラン東北臨時増刊号「美しく暮らす東北のデザイン住宅」が発売になりました。
手前味噌ですが、設計島建築事務所も(少しですが)出ております。
東北のたいていの書店には置いてあるかと思いますので、ぜひお手に取ってご覧下さい。

さて、実は私は自分の設計した住宅が「」にカテゴライズされることは本意ではありません。
なぜかと言うと、「デザイン」という言葉が見た目のかっこよさやきれいさという意味でしか使われていないような気がするためです。

もちろん、洋服や車、その他の様々な道具はかっこ良かったり美しかったりするべきだと思っています。
美しい道具は大事にしたくなりますし、長く愛されると思うからです。
しかし、住宅においてはその使用期間は他の道具に比べて遥かに長い(はず)。
しょっちゅう買い替えられるものでもありません。

「デザイン住宅」と呼ばれる住宅は、どこか変わっているとか奇をてらっているものが少なくありません。
バブル期にはそういった住宅がとても多く建ち、話題にもなりました。
それらの中で名作と呼ばれるに至ったものもわずかにありますが、ほとんどは今見ると恥ずかしくなるようなものばかりです。
私としては、美しくありつつも、より普遍的で時間の流れに耐えられるような住宅を作りたいと考えています。
ヨーロッパを旅した時、コルビュジェやアアルトの作品を沢山見て回りましたが、当時前衛的であったはずのそれらの建築が今も残っているのは、やはりそこに何らかの普遍性があったからだと感じざるを得ませんでした。

また、「デザイン=見た目」として見た目だけを追いかけることの危険性は素材にも現れます。
私の事務所ではビニルクロスや複合フローリングは使いません。
壁は漆喰や和紙、床は無垢材を使います。
ビニルクロスはその名の通りビニルですし、複合フローリングは厚さわずか0.3mm程度の薄ーい木目(ひどい場合は木ですらなく印刷したシート)をベニヤに貼付けたものです。
それらは写真に撮ると、どちらも白い壁や木の床に見えます。
見た目的にはどちらもあまり変わりませんが、手触りや湿度の調節などにおいて大きく違います。
それに、本物の素材は、例えば革製品などの様に手入れができ、経年変化で味わいも出て来ます。
ビニルクロスや複合フローリングなどの新建材は、最も美しいのが家が建った時であとは古びてみすぼらしくなるだけです。
無垢の床の傷は味わいになりますが、複合フローリングの床に付いた傷はただの傷です。
つまり、前に書いたような時間の流れに耐えうる素材ではないという事です。
これらの素材は、早く安く家をつくるために高度成長期に登場したものですが、それがシックハウス症候群を生み出しました。
今では対策はされていますが、それでもこれらの素材を使った家は、そこに入った時の匂いですぐにわかります。
ほとんどの人が「新築の匂いだ〜。」と言っているのが、ビニルや接着剤の匂いだというのは悲しいことです。

もう一つ、見た目ではわからないことがあります。
それは断熱性などの温熱環境です。
ガラス張りやコンクリート打ち放しなどの一見かっこいい家は(一部の例外を除いて)、ほとんどが夏暑くて冬寒い。
光熱費がとてつもなくかかり、健康にも悪い。
巷でよくあるケースは、かっこいい住宅なんだけど予算がないので断熱がすかすかという家。
それは言ってみれば、お金のない人は安全な食べ物を買うことができないというのと同じことです。
当事務所では一定水準以上の断熱性能の確保は当たり前のこととしています。
見た目をどうするかというのは、それを前提として考えていきます。
もちろん、予算がないからといってかっこ悪くするなんてこともありません。

このように書いて来ましたが、「デザイン住宅」が悪い訳ではありません。
うわべだけ、見た目だけを「デザイン」とする住宅が悪いのであって、目に見えるものも見えないものも「デザイン」するのが本当に良い「デザイン」と言えるでしょう。

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