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ソファの手入れ


梅雨に入る前にソファの手入れをしています。
皮革専用のクリーナーで汚れを落とし、保護クリームを塗ります。
奮発して買ったレザーのソファ、こうして手入れをしておくことによってカビなどを防ぐことができます。
レザーは動物の革なので間違いなく
メンテナンスに手は掛かりますが時とともに味わい深くなり、一生使うことができます。
これがビニールレザーだったらどうか?
お手入れは簡単かもしれませんが、時とともにみすぼらしくなるだけでしょう。

私は自然素材を使った家づくりをしています。
いや、自然素材というのはちょっと語弊があるかもしれません。
合板や集成材、ガラスなども使うので、「素」の素材と言った方がいいかもしれません。
木目をプリントしただけの素材やレンガのように見える材など〇〇風〇〇調の素材は使いません。
合板でもいい、合板なら合板らしく素のままの素材を使いたいと思っています。

最近は自然素材を使った住宅もだいぶ一般的になってきました。
ただ、その弊害と言うか、自然素材がイメージだけで選ばれることも増えて来たように思います。
木だったら乾燥して隙間が出来たりヒビが入ったりする、塗り壁だったら染み込んだ汚れは落とせない、などある程度のデメリットも許容できなければ自然素材とは暮らせません。

最近、話題にならなくなりましたが、一時話題になったシックハウス症候群、化学物質過敏症を引き起こしたのが新建材です。
これは、「木にしたいけど汚れるのは嫌」「塗り壁にしたいけど拭けないと困る」などのユーザーの要求からメーカーが生み出した自然素材の顔をした化学的な便利素材です。

自然素材しか無かった昔だったら当たり前だったことが今や失われつつあります。
畳の表替えはほとんど見られなくなり、昔ながらの畳屋さんは大変です。
家の作り手である大工さんでさえ、目立ての必要なのこぎりを使う人はほとんどいません。
鉋やのみすら使わない大工さんもいて、それらの道具を作る鍛冶屋も絶滅寸前です。

一方、商売として儲かるから、イメージがいいからという理由で自然素材を扱う業者も増えています。
そう言う人たちが自然素材のいいところだけを喧伝するのも問題です。
家というのは家族が毎日毎日何十年も使い続ける場所なので、住み始めた瞬間から汚れや経年変化が始まります。
でも経年変化が味わいになるのが自然素材のよいところ。
汚れたら掃除する、取れない汚れは削る、それでもダメなくらい汚れたら塗り直す。
無垢のフローリングは数年に一度ワックスをかける。
葉っぱが詰まった雨樋は掃除する。
塗装が落ちたデッキやは塗り直すなど家に掛かるメンテナンスは無数にあります。
手をかければそれだけ愛着も沸いてきます。
せいぜい10年ちょっとしか乗らない車は毎週洗車するのに、車の10倍くらいお金も掛かっていて何十年も住む家のお手入れをする人が実に少ないのはなぜなのでしょう?
歳を取らない人間がいないのと同じように、自然素材も美しく歳を取るにはお手入れが大事です。
お手入れできるって実はとても贅沢なことです。

ソファはしっとりふっくらになりました。

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