BLOG

志波姫の家 プレゼン

昨年の夏はとても暑く、残暑も長かったように記憶しています。
敷地を訪れたのは10月でしたがまだ紅葉の気配はありませんでした。
敷地は目の前にどこまでも田んぼが広がる文字通りの田園地帯。
冬には目の前の田んぼに白鳥が餌をついばみに来るようです。

敷地自体の広さも都市部からすると羨ましいほどの広大さ。
目の前に広がる田園風景は取り込むとして、一体敷地のどこに建物を置けばいいのか?
手がかりは既存の樹木にありました。
紅葉していなかったので初めは気が付きませんでしたが、既存建物の前に立つ立派な木がカエデだということに。

この2世帯住宅の計画は親世帯と子世帯を完全に分離したいというご希望だったので、いくつかのボリュームが並んだような形態を考えました。
そこで、親世帯子世帯両方のリビングのどちらからもこの大きなカエデが眺められるように配置を計画しました。
生活はそれぞれ独立していても同じ樹を共有することによって一緒に暮らしている気持ちになれるのではないかと思ったわけです。

親世帯のと子世帯の片流れ屋根を1階にを持つ箱のようなボリュームでつないでいます。
土間は親戚などが集まる時のためですが、普段は親世帯の玄関土間と冬の低い日射を土間の石に蓄熱するという役割も持っています。

の中村好文さんの住宅が好きだというクライアントの希望で、を設置する場所をイングルヌックとしました。
もう一つのご要望で中二階が欲しいということでしたので、中二階の下をイングルヌックにすることでより「こもり感」のあるイングルヌックになりました。

要望事項を盛り込んだ上で楽しい空間構成になったのですが、一つだけ気になることが・・・。
今回に限ったことではないのですが、それはです。
毎度のことですが、ヒアリングからプラン提出はクライアントの気持ちも最も盛り上がるところで、予算のことは頭の片隅に追いやられています。
普段、私はプランしている時ヒヤヒヤしながら予算という名のブレーキを踏んでいるのですが、クライアントのアクセルは緩むことなく・・・。
そのうち私も楽しくなって一緒にアクセルを踏む始末です。

プランは無事クライアントの承認を得ることができました。
これから実施(施工業者が見積もりや工事ができる図面)に入るのですが、暴走することなく適度に気持ちいい速度でスムーズな運転を心がけようと思います。

ページトップへ