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落合の家始動

落合といっても中野区の落合ではなく、市青葉区の落合の話。
先日、お客様へのファーストをしました。

(3DCG製作は菊池駿一さん)

敷地は青葉城恋唄で有名な広瀬川(30代以下の人は知らないか?)流れる岸辺の開発宅地の一番奥。
敷地北を広瀬川が流れ、鉄道の鉄橋がある。
その鉄橋の手前、敷地の北西角に見事な桜が咲いている。
この春に敷地を見にいって見とれた。
そして、南から入る開発地なので、一番奥ということは南側には家が建つということ。

プランニングは施主の要望と敷地の持つ諸条件を合わせて調和させなければならない。
施主の要望だけならエゴハウスだし、だけでは住まい手の生活は満足させられない。
町の人からどう見えるか?風景や景観に対してはどうかも考えなければならない。

住宅のプランニングは料理に似ているといつも思う。
手持ちの食材でいかに食べたいものを作るか?
レシピ見て、食材や調味料を揃えて作る趣味の料理とはちょっと違うと思う。

この家では、南からの日射を取り入れつつ、北を通る列車の音を緩和し、北西に咲く桜を家の中から見たい。
閉じたい北側をどう開くかという一見矛盾する要件をどう解くか?

ということで、出したのがこのプラン。

北側は寝室やリビングダイニングを配置せず、列車の音を干渉するようにクローゼットや水回りを配置した。
分厚い壁のとも相まって、鉄橋を渡る列車の音はかなり少なくなるはず。

南側の敷地にはまだ建物が建っていないが、建築条件のついている隣地に建つはずの住宅の高さや配置を予測し、冬場にそ影に入らないように建物形状や高さ、配置を決めた。
の場合、敷地に余裕がないと1階での日射取得は難しくなるが、太陽に素直にすればどこかに突破口はあるはず。

桜の木は電柱よりも背が高く、1階の窓からでは幹しか見えないことがわかった。
しかも、リビング・ダイニングから桜の木の方向はこの敷地への車の侵入経路と駐車スペースになるのが必須で、そのままこの方向へ開くと車を眺めながら花見をすることになる。
そこで、樹上の桜の花の咲く方向に高窓を設けて、窓いっぱいに花が見えるようにした。

ファーストプランはいつも最もよく練られたものを提出する。
これを後から延ばしたり縮めたり、組み替えたりしても良くなることはあまりない。
少々失礼かもしれないが、昔の職場で上司がよく言っていた「下手の長考休むに似たり。」という言葉を思い出す。

幸いお施主様にはこのプランを気に入っていただき、このプランのままで実施設計に入ることになった。
最後の最後に「下手」と言われないように心して仕事を進めたい。

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