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外壁は3種類

設計島で使う外壁は、、木、ガルバリウム 鋼板の3種類です。

住宅で最も一般的な窯業系サイディングは使わないことにしています。
窯業系サイディングって?という人は周りの住宅を見回してみてください。
あるいは、ハウスメーカーや建売住宅のホームページを見てみてもいいかもしれません。
石目調やレンガ調、木目調などの色柄はたくさんありますが、〇〇調というところからもわかるように全てフェイクです。
中身はセメント質の原料と木繊維などの繊維質の原料を固めたものです。
表面は塗装で様々な色柄を作り出しています。

なぜ、これほどまでに広く使われている素材を使わないのか?
理由は二つあります。

一つは耐久性です。
窯業系サイディングは工業製品であることから半永久的だと思っている人も多いようですが、基材には防水性がないことから表面の塗装で水を防いでいます。
その塗装は5~10年で塗り替えが必要です。
またサイディング板の縦の継ぎ目に入るシーリングも紫外線により劣化しますので、打ち替えが必要です。
よくあちこちで足場を掛けて塗り替えをしているのを見かけるあれです。
ほぼ塗装とシーリングで防水している素材なので、これを怠ると内部まで水が侵入する原因となります。
また、塗装の割れ目などから水が侵入して凍結すると膨張してひび割れを広げることもあります。
素人でできるような塗装ではないので、その費用は足場代も含めると100万円を超えることも珍しくありません。
サイディングは外壁材の中では安価な材料ですが、何十年も住み続ける家で5〜10年ごとに100万円もかかるなんて安物買いの銭失いと言えるでしょう。

もう一つの理由は景観です。
木目調、レンガ調と入っても所詮はフェイクです。
テーマパークの偽物感にも似た安っぽさがあり、経年変化も味わいというよりはみすぼらしくなってしまうのがフェイク素材の残念なところです。
ハウスメーカーの分譲地などで同じ家がたくさん並んでいるところがあります。
私はあれに全く美しさを感じません。
一方、同じような家が並んでいても、古い建物が立ち並ぶ旧街道や集落は素晴らしい景観だと感じます。
景観を作り出すのは統一感だけでなく、素材の持つ力、時間に耐えうる素材であるかどうかだと思います。

前置きが長くなりましたが、みんなが普通と思っている窯業系サイディングって実は全然普通じゃないんだよということを周知していただきたいと思って書きました。

それでは、最初に書いた3つの外壁材について書いていきます。

最初に書いた順番は施工費の高い順です。
3つの中では、左官仕上げが一番高価で木の外壁、ガルバリウム 鋼板と続きます。

まずは左官仕上げ。
代表的なのは日本に昔からある漆喰でしょうか。
最近は海外から入ってきているスイス漆喰などもあります。
あとは火山灰から作られた白洲そとん壁や珪藻土系の材料もあります。
一言で左官仕上げと言っても材料の種類もいろいろあり、色やテクスチャーのバリエーションも豊富です。
木ずりという板の上(木ずりを貼らずにラス網自体に通気性のある工法もある)に防水紙とラス網を貼った上から下地のモルタルを塗り、さらにそれらの材料をコテで塗ります。
工程が多いことと、左官職人がコテで塗っていくことから手間賃がかかるので、3種類の中では一番高くなっています(大体¥10000/m2~)。
値段は高いですが、左官職人が作り出す微妙なコテ跡などは工業製品には出せない味わいがあります。
また、3つの中では最も耐久性が高いです。

建物の剛性にもよりますが、よく心配されるヒビも意外なほど入りません(写真の建物は東日本大震災でもヒビが入りませんでした。)。
アルカリが強く、無機材料で静電気が起きにくいため汚れがつきにくいのもメリットです。
ちなみに一見するとこれらと同じに見えるジョ◯パットなどの塗材はアクリル樹脂なので石油化学製品であり、そのため静電気が起きやすく大気中の埃などが付着しやすいです。
漆喰などの左官よりは安価にできるので、左官ぽく見せたい場合によく使われていますが、見た目だけのためなら私は使わない派です。

次に木の外壁です。
木の外壁と言った時にまず受ける質問は「腐りませんか?」という質問です。
答えは「腐ります。」。
木は有機物質ですからいつかは腐ります。
それでも、先に書いた窯業系サイディングよりは耐久性は高いですと説明します。
先日、マイクロプラスチックに関するテレビ番組を見ましたが、永久に腐ったり分解されたりせずに環境中に漂う物質の方がよほど不自然で危険です。
要はどのくらいの期間で腐ったり、建物に害が出たりするのかが問題なわけです。
近所に古い木の外壁の家はありませんか?
木は濡れたままの状態にしなければそう簡単には腐りません。
外壁は水が流れやすいのですぐに乾きます。
軒を出してなるべく外壁に水がかからないようにすればなお良しです。
私はウッドロングエコという木材保護保持材を塗ることが多いですが、経年による色の変化を楽しめるなら無塗装でも問題ないと思っています。
もし、塗装する場合は経年劣化の具合が自然な自然塗料を使います。
自然塗料であれば、やる気さえあれば自分でも塗装できます。
また、仮に何か不具合(穴が空いたなど)があった場合、その部分だけ張り替えることが可能です。
サイディングの場合は、一部張り替えようと思ってもすでに同じ色柄が廃盤になっていたりします。
その点、木には廃盤はありません。
外壁によく使う木は近い所で手に入りやすい杉ですが、カラマツなどを使うこともあります。
防火上の要請がある場合はレッドシダーのチャネルサイディングを使うこともあります。
木の種類がそれほどないので、ワンパターンになるのではないかと思われがちですが、そこは貼り方でバリエーションを設けます。
縦張り、鎧貼り(横張り)、縦張りに押縁、重ね貼り、ファサードラタン(すのこ貼り)などなど。

写真は36mm角の細い材料を寄せてはった外壁です。
一般的に木の外壁材は15~18mm程度の厚みのものが多いですが、これはその倍程度の厚みがあるので耐久性も高くなっています。

最後にガルバリウム 鋼板。
屋根では当たり前に使われるこの素材を外壁で使うのも近年かなり一般的になってきたように思います。
ガルバリウム 鋼板のことをトタンという人がいますが、これらは別のものです。
トタンは俗称で、正確には亜鉛めっき鋼板と言います。
これはこれでサビにくかったのですが、それの耐久性をさらに高めたのがガルバリウム 鋼板でアルミ、亜鉛、シリコンから成るメッキ組成の鋼板です。
ガルバリウム 鋼板のメッキ層は自己修復作用を持つので、浅い傷であれば自己修復し、なかなか錆びません。
短所としては、熱による収縮や風の影響でベコベコ音がする事がありますが、品質自体には影響ありません。
この短所を補うものとして、ウレタンなどの断熱材で裏打ちされたガルバリウム 鋼板の外壁もありますが、これは廃棄の時に鋼板と断熱材を分離するのが難しく、処理にかかる環境負荷が大きいので私は使いません。
時々、この断熱材があるから断熱性が高いと言っている人がいますが、外壁は通気層の外側にあり、外気が裏側を通っているので断熱におけるメリットはほとんどありません。
ガルバリウム 鋼板は塗装色によってカラーバリエーションがあります。
最近の製品は大体10年から20年の塗膜保証が付いているものが多いので、基本的にはそれ以上の耐久性があると思っていいでしょう。
意外に思われるかもしれないのは、先に錆びてくるのは軒下の雨のかからない部分です。
待機中のホコリなどに含まれる鉄分によるもらい錆のようです。
雨のかかる部分はそれらが流されるので錆びにくいのです。
潮風が当たるような沿岸部では錆びやすいので使うべきではないでしょう。
ガルバリウム も素材としては単純なものですが、やはり貼り方や折り方でバリエーションを出すことができます。
鋼板自体を加工したものだと、波板、角波、角平、角平裏折などがあります。
平らな板を板金屋さんが貼っていくものだと、縦ハゼ(立平、縦平)葺、横葺きがあります。
横葺きの場合は出隅に角を隠す為の材料が縦に入ることがありますが、私の場合はそれを使わずに横葺きの材料がそのまま連続するように特殊な折り方をしてもらっています。

ハウスメーカーなどでは膨大なサイディングのカタログを見せて、その中から選んでもらうことによって施主が自分の個性を出したかのような方法をとっている会社も多いです。
でも、それが逆に無個性で無秩序な町並みを作ってしまっています。
町並みを形成する外壁にはそんなに種類はいらないのではないでしょうか?
少なくとも、安物買いの銭失いにならない、時の流れに耐えうるものを使いたいものです。

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