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富沢の家3 進行状況


富沢の家では屋さんがそとん壁の下塗りをしていました。
コテ板にコテを擦る音が子気味良く響いていました。
周りはほとんどがサイディング貼りの家ばかりの中、木と左官のは逆に目立ちます。
昔はこちらが当たり前だったと思うのですが・・・。
は樹脂などを含まない本物の左官材料です。
よく見かける樹脂吹き付けの左官「風」材料ではないところが良いです。
できた時の見た目にはあまり違いはないかもしれませんが、経年変化では差が出るはずです。

第一、見た目だけ塗り壁「風」にする目的ってなんなんでしょう?
材料の選定はその機能や効能、特性などの本質によって選ばれるべきではないでしょうか?
そうでなければ、ただのフェイクではないでしょうか?
木では無いものに木目をプリントした木「風」のフローリングや〇〇調のビニルクロスなどが原因でシックハウス症候群が起きたことを思い出します。

左官屋さんが壁を塗っているこの壁の下地にはちょっとした秘密があります。
いまどきの家の外壁というのは、実は外壁材だけで防水しているわけではなく、外壁の下に防風透湿シートというものを貼りそこで防水しています。
そのシートと外壁材の間には通気層という隙間があり空気が流れるようになっています。
この通気層がちゃんとしていれば、室内から壁の中に入った水蒸気や何かの加減で通気層内に入った水を乾かして壁の内部を健全な状態に保つことができます。

通気層は胴縁と言われる桟を取り付けて隙間を作りますが、一般的にはこの胴縁は一重です。
しかし、この写真の通り、この家では胴縁を二重に取り付けています。
それはなぜか?
この家では、柱と柱の間にを充填するだけでなく、その外側にも付加断熱をしています。
今回はでこの付加断熱をしているので、上からシートを貼ってもふかふかの羽毛ぶとんのように膨らんでしまいます。
そこに一重の胴縁だけだと膨らんだ部分が通気層を塞いでしまい、空気が正常に流れなくなってしまいます。
そうならないようにシートと外壁の裏側がくっつかないように胴縁を二段構えで取り付けています。
仕上がってしまえば見えなくなる地味な部分ではありますが、家の耐久性にも影響することなので、そう言ったところまで配慮しています。
図面で描くと、このシートは直線であり膨らみは表現されません。
実際の現場で観察し、考えた結果が生きています。

内部は現在このようになっています。
がまだですが、石膏ボードはほぼ貼り終わりました。
構造材である梁は一定の間隔でそのまま見えたままです。
梁と梁の間の白っぽく見える天井は塗装ではなく、梁の上に無塗装のケイ酸カルシウム板を敷いています。
現代の家の多くは内部構造が見えない作りになっています。
構造の上から石膏ボードや様々な材料を貼ったり塗ったりしてきれいに化粧してしまえばどのように見せることもできます。
これって何かに似ていますね?
このような建築のハリボテ化を全てにおいてしないことは、コストや機能的なニーズの問題もありなかなか難しいのですが(実際、壁は石膏ボードを貼っています)、私はできる限り余計な化粧をしない「」を作りたいと考えています。

完成は11月の予定です。
なんとかお披露目する機会が作れればと考えています。

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