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志波姫の家 進行状況

窓から見えるのは黄金色に実った稲穂がどこまでも続く景色、そろそろ稲刈りの季節です。
今年の1月から始まったの現場の進行状況です。

のこの家はそれなりの大きさがあるのでずいぶんと時間がかかりましたが、ようやく終わりが見えてきました。
大工さんたちは内部の造作工事がほぼ終わり、の杉板貼りをしています。

南側から見ると建物は3つのボリュームに分かれていることがわかります。
それぞれ大きな片流れの子世帯、の親世帯、それら二つをつなぐ陸屋根の棟。
二世帯住宅のあり方は親と子、それぞれの世帯の関わり方によって様々ですが、今回はそれぞれが自立した生活を営んでいることから、お互いの生活に干渉しないよう世帯ごとに生活が完結するようにしています。
また、敷地が広く、風景に広がりのある場所なので、ドーンとした一つの大きな建物ではなく、異なる屋根の形を組み合わせることで複数の家が集まって小さな集落を構成しているかのような印象としています。
生活は分かれていても繋がりを感じることができるように元々この場所に立つ大きなカエデの木を親世帯、子世帯のどちらからも見えるように建物を配置しています。
カエデの木は夏は強い日差しを遮ってくれ、これからの季節は紅葉して目を楽しませてくれます。
陸屋根の土間棟はカエデの陰に隠れてしまうのですが、ここでは元からある風景を大切にしたいという想いから、建物の方が目立つ必要はないと考えています。

この家は広さに余裕があり、ちょっとゆとりのある場所をいくつか設けることができました。

こちらは親世帯。
コンパクトながらリビングと寝室、や浴室、トイレもあり、ここで生活が完結するようになっています。
親世帯は床壁天井全て杉板で仕上げており、梁はかつてここに建っていた板倉の梁を再利用しています。
南側の窓はで、全て壁の中に引き込むことができます。
この窓からカエデの木とその向こうに広がる田んぼが見えます。

一方、こちらは子世帯のリビング・ダイニング。
風景を切り取るようにフィックス窓としていますが、ガラスの脇に換気ガラリがあり風を取り込むことができます。
周りに遮るものがないせいか、この場所はいつ行っても風が吹いています。
夏場でもある程度の気温までは水田を渡る風を取り込んで過ごすことができそうです。
窓はあえて高さを抑え、視線の重心を低くすることで部屋の雰囲気に落ち着きを与えています。

もう一つ、あまり他では見ないスペースを。
こちらはイングルヌック。
聞きなれない言葉ですが、暖炉の脇の腰掛けられるスペースという定義らしいです。
床を一段下げてとソファを設置します。
天井が低いので、こじんまりと篭れる場所になります。
コンクリートの壁に薪ストーブの熱を蓄熱してリビングとは別に冬にはヌクヌクと過ごせる場所になります。
コーナ窓からはカエデの木が見えます。

完成まであと1ヶ月ちょっとでしょうか。
その頃には去年田んぼで落ち穂をついばんでいた渡り鳥が帰って来ているかもしれません。

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