BLOG

動物病院の断熱工事

併用住宅の内部の充填断熱工事が始まりました。
外側の付加断熱は最初からパネルに貼ってあるので(グラスウール100mm相当のネオマフォーム)、充填断熱と合わせると壁の断熱性能(熱抵抗値)は換算で220mmということになります。

ということで、現場には大量のグラスウールが運び込まれています(これでも一部)。
グラスウールは「裸」のものを使っています。
裸というのは、他の現場やホームセンターでよく見る袋入りではなく袋に入っていないものです。
袋入りだと間柱のピッチが違うところや上下でカットしなければならず、せっかく防湿のための袋に入っていても後から防湿シートを貼らなければなりません。
袋入りのグラスウールを使っている現場で合格と思える施工を見たことがありません(あるのかもしれませんが)。
ひと昔前までは大工さんは袋入りグラスウールの耳(袋の両端から出ているのりしろのような部分)を間柱の内側に折り込んでタッカーで留めるのが当たり前で、これをやめてもらうために大工さんと一悶着あることもしばしばでした。
石膏ボードを貼るときにタッカーの出っ張りが邪魔になるというのが大工さん側の理由ですが、これは間違った施工方法です。
本当は間柱の上で耳と耳を重ね合わせ、さらにテープを貼らなければなりません。
今でもたまにこのような施工方法をブログなどに載せている工務店などを見かけますが、おそらく正しい施工方法を知らないのでしょう。

裸のグラスウールはこのように施工状態も一目瞭然なので、ダメな部分があればすぐにチェックもできます。
ここでは防湿シートの重なりを大きく取って、さらにテープでシートの端を止めています。
今回は防湿シートの上に配線胴縁があるので、シートが石膏ボードで押さえられないため、この後テープの上から胴縁などを貼ってテープが剥がれないように押さえます。
テープ処理は現在の現場では当たり前のようにある方法ですが、経年変化で剥がれてくることを見越した処理をしなければなりません。
配線胴縁がない場合は気密コンセントボックスという専用の部材を使いますが、家全体で結構な数を使うのと気密コンセントボックス周りの処理が煩雑なので、今は配線胴縁を使って貫通部以外のシートを破らなくても良くなりました。

換気などでを貫通する部分は、写真のようにあらかじめ硬質な断熱材を入れておき、パイプを貫通させておきます。
(写真のネオマフォームは仮止め)
グラスウールに直接穴を開ける方法も間違いではないですが、ホールソーで穴を開けるときにグラスウールの繊維を巻き込んだり、切断面がぐちゃぐちゃになったりすることがあります。
さらに、パイプ周囲は防湿気密シートを貼った後テープなどで気密処理するのですが、テープを押さえるときにテープの下がふかふかしているとテープをきっちりシートに密着させるのが難しいのです。
テープの下が固いものだとシートとテープをしっかり密着させることができるので施工性がよく、気密の精度を保ちやすいのです。

以上のように断熱気密工事には様々な「肝」があります。
図面に断熱材〇〇mmとか防湿気密シート施工と書くのは簡単です。
しかし、それらの施工方法やなぜそうするのかと言った原理原則を知って監理しなければそれらは絵に描いた餅になってしまいます。
最近は断熱性能を重視するや断熱気密施工のできる工務店も増えてきました。
現場監督にはうるさい奴だとか細かい奴と思われているかもしれませんが、この部分はやはり施工者任せにはできません。

ページトップへ