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木の外壁 ウッドロングエコ塗装

先週、台風が来る前にお施主さんと一緒にの塗装をしました。
2階の外壁は杉板貼りです。

外壁が木というと、よく「腐りませんか?」と聞かれます。
もちろんいつかは腐ります。
というのは、食べ物と一緒です。
腐らない食べ物って気持ち悪いですよね?

ただ、その辺を見回してみると、4、50年は経っているであろう外壁が木の家が1件くらいはあるはずです。
汚れているかもしれませんが、腐ってはいないのではないでしょうか?
おそらくメンテナンスもしていないであろうでもそのくらいは持ちます。

一方、現在最もポピュラーな外壁は窯業系サイディング。
そこら中で見かけませんか?10年目くらいの家で足場を掛けて塗装し直してるお宅。
サイディングはだいたい10〜15年で塗装しないと、表面の塗装やコーキングがダメになり雨などが侵入しやすくなります。
塗装費用と足場費用で100万円近く掛かるはず。
初期費用は安いですが、メンテナンスにずいぶんお金がかかってしまいます。

まぁ、巷で思われているよりも耐久性はある木の外壁ですが、塗装はしておいた方がより持ちが良くなります。
うちの事務所では10年ほど前からという塗料を標準的に使っています。

これは10年目くらいの木の外壁です。

木の赤太と白太の部分で色の変化の仕方が違いますが、自然な経年変化で風合いがあります。

ウッドロングエコは、塗料とは言っても厳密には防腐剤です。
石油化学系の材料を使用していない天然防腐剤。
日本よりも環境や人体への害に対して基準が厳しいカナダの国立公園の木製標識で使われています。
成分は企業秘密で非公開ですが、鉱物とハーブなどが入っているようです。
おそらくハーブは気休めで、鉱物イオンによって木に化学変化を起こし腐りにくくしているのだと思われます。

このウッドロングエコ、最初は緑色の粉の状態です。
100gの粉を19ℓの水に溶いて使います。
水に溶くだけで溶剤など入っていないので、素人でも安全に簡単に塗ることができます。
うちの事務所では、工事が厳しい時はお施主さん自身に塗ってもらう事が多いです(というかほとんどそうかも)。
自分が住む家ですから、自分で手を入れられるというのも大事じゃないでしょうか?

では、塗っていきます。
今回は杉の板のラフ面を表にしているので、表面がざらざらしています。
その方がウッドロングエコが染み込みやすくなります。
これは塗った直後。塗れ色になりますが、色は付きません。

数十分後。

煤けたような色になります。
この時点では「うわ、きたない!」と思われる方もいると思います。
おそらく酸化反応かなにかだと思うのですが、これがウッドロングエコの特徴です。

2、3日後。色の変化が落ち着きました。
着色する塗料と違い、自然と風化したような色になります。

木の外壁を貼った時、最初に白木の色がきれいなので塗装したくない、あるいはこの色のままにしたいという方がよくいらっしゃいます。
が、塗装しないと数年後には自然とこのような色になります。
しかも防腐効果はありません。
着色するタイプの塗料で塗装した場合、最初はきれいですが数年後にはまだらに剥げてくる可能性が高いです。
最初の状態を保とうとすると2、3年ごとに塗り替えをしなければならないでしょう。
手が届く場所でよほどまめな人であればそれも可能かもしれませんが、たいていの人はやりません。

外壁に限らず、自然素材と付き合うには経年変化を許容する気持ちがなければやめた方がいいでしょう。
木目調のサイディングや木目をプリントした建材の家はそういうニーズから生まれ、同時にシックハウス症候群を生み出しました。
食べ物と同様、いつかは腐るけど安全な素材を使いたいものです。

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