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太白の家 気密測定の結果

蒸し暑いさなか、を行いました。
窓を閉め切って測定するので、大工さんには「暑いから、早くしてくんねーか。」と言われる始末。

これが気密測定器です。
中に換気扇が入っている大きなバズーカの様な筒から外に空気を引っ張り出し、その抵抗から家全体の隙間を把握します。
以前は施工が上手そうな工務店の場合は気密測定をしない事もありましたが、最近は全棟気密測定をすることにしています。
健康診断みたいなものですね。

測定の結果は0.3㎠/㎡、床面積1㎡あたり0.3㎠の隙間があるということです。
私の事務所では0.5㎠/㎡以下を基準にしているので、良好と言える結果でした。

断熱気密工事は専門業者に工事してもらったので当然と言えば当然ですが、気密施工がほぼ初めての工務店にしては良い結果が出せたと思います。
気密に関わる部分としては、専門業者の行う防湿気密シートの貼り方だけではなく、大工さんが取り付けるサッシ回りの気密や電気屋さんがする配線や換気扇の貫通部も隙間となる要素ですので、そこの部分の施工アドバイスと監理を徹底しています。
者は図面に防湿気密シートとかの厚さ何ミリと書くのは簡単ですが、それだけでは絵に描いた餅になりかねません。
特にそういった経験の少ない工務店が施工する場合には工務店任せにせずに設計者自らがチェックし指摘することが重要です。
もっとも、それが現場で私がうるさがられる理由でもあるのですが・・・。

例えば換気扇のダクト貫通部。

あらかじめ100mm厚のポリスチレンフォームを入れておき、そこにスリーブを貫通させます。
このあと、ポリスチレンフォームと木材、スリーブの間に発泡ウレタンを吹きます。
そして、壁にが入ってから一緒に防湿シートで気密します。
このやり方だと柔らかいグラスウールに丸い穴を空けシートを貼るよりもテープもくっつきやすいので精度を確保しやすいです。
昔の現場の様に断熱材を入れてから後で穴を空けるなんてもってのほか。

気密測定の時はこれらのスリーブに目張りして測定するのですが、ここで工務店の方から質問がありました。
気密測定して隙間が少ないことを確認できてもどうせ換気扇を取り付ければそこが穴になるのだから意味がないのでは?という質問でした。
そう思うのも当然なのですが、実はそれはちょっと違う。

気密をするのは完全に隙間を無くすのが目的というよりは、隙間の場所と量をコントールするためです。
そのために、一旦限りなく隙間がゼロの状態にして、必要なところに必要な大きさの穴だけ空けるということなのです。
そうでないと、高価な換気システムを設置しても空気や水蒸気は好き勝手な場所から出入りして換気システムの意味がない。
そして、隙間から壁の断熱材の中に入った水蒸気は、壁体内結露の原因になったりします。
我々が口すっぱく気密気密と言うのは、換気経路をはっきりさせることと壁の断熱材の中に水蒸気が入らないようにするという理由があるのです。
ただ数字を追い求めているわけではありません。

気密測定が終わり、この家に関してはひとまず最初の関門を通過したことになります。
断熱性能は快適さの一つの指標であり、それだけでいい家になるわけではありませんので、このあと造作工事、内装、設備と(うるさがられながら)チェックしていきます。

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