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落合の家 断熱工事と気密測定

落合の家の断熱工事が終わり、を行いました。

高断熱高気密住宅という名の通り、高断熱と高気密はセットで考えられています。
気密性は隙間風などが入らないようにと思っている人も多いのですが、そうではありません。
確かに隙間の大きい家では風速が高くなると自然換気量が増えてしまうということはあります。
しかし、一般の人が考えるような「隙間」と気密測定で扱う隙間はレベルが違います。

隙間係数はC値と言い、0.5cm2/㎡というような単位で表されます。
上の数字で言えば、床面積1㎡あたり、0.5cm2の隙間が存在することを意味します。
C値が1cm2/㎡なら、床面積1m2あたり1cm角の穴があるということです。
0.5cm2/㎡ということは、床面積25坪(82.75m2)の家なら82.75×0.5=41.37cm2。
つまり家全体で名刺1枚より少し少ないくらいの隙間が存在するということです。

そのようなわずかな隙間ですので、気密を高めるのは隙間風対策というよりは別の理由があります。
高断熱ということは当然がたくさん入ります。
この断熱材、などの繊維系の断熱材は湿気に弱いという特徴があります。
湿った布団が暖かくないのと同じ。

壁や天井に入った断熱材に室内から外へ向かって移動する湿気(水蒸気)を吸わせないためには、断熱材の室内側にビニールシートなどで防湿層を作る必要があります。
かつて、断熱材が入っているのに防湿層がなかった時代には、寒冷地では数年もすると壁の中の断熱材は湿った布団のようになっていました。
一度湿ったグラスウールは密閉された壁の中ではなかなか乾かないので、壁の中の柱などにカビが生えたり、腐ったりする原因にもなります。
適当にグラスウールを入れて、防湿シートも張っていない現場を未だに見かけますが、数年後どうなるかは予想できます。

つまり、高断熱にするなら断熱材のパフォーマンスを保つために防湿層が必要であり、その結果気密性が高くなる。
高気密は実は目的というよりも結果、あるいは高断熱という目的のための手段ということもできるでしょう。
ちなみに、気密性を高めることにはもう一つ、計画換気を計画通りに働かせるためという目的もあります。

さて、の断熱材の施工状況はこんな感じ。

壁。
隙間やヨレがなく、ぴったりと断熱材が充填されています。
薄緑に見える防湿シートもたるみなく貼られ、シート同士の重なりも十分取られています。
パイプの貫通部処理もきちんと行われています。

天井というより屋根と言うべきか。
屋根面はグラスウールが300mm入っています。
こちらもびっしり。
もちろんその上には通気層があります。
シートのジョイントは剥がれて来ないように桟で押さえています。

そして、気密測定。

全ての窓を閉めた状態でバズーカのようなファンで空気を吐き出します(減圧法)。
その抵抗で隙間の量を割り出します。

結果はC値=0.2cm2/㎡でした。
私の事務所では全棟気密測定し、C値は0.5以下にしなければいけないと言う基準を設けているので合格です。
不合格の場合は、考えられる隙間を探し出し、テープを貼ったりして0.5以下になるまで修正します。

0.2cm2/㎡と言う結果は数年前であれば、すごいと思う結果だったのでした。
しかし、断熱気密施工の方法が確立してきた現在では工務店の現場監督をして「普通ですよ。」と言わしめる結果です。
気密施工に慣れていない工務店にとっては、今だに「すごい!」と思わせる結果だと思いますが。

断熱工事が完了したので、これからは大工さんの内部造作工事となります。
先日、お施主様との打ち合わせで、大工さんが休みの日に現場に行ったのですが、外は30℃を超える暑い日だったのに、中へ入るとひんやりしていました。
これからの季節、現場で作業する大工さんにも優しい環境です。

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